「年金だけでは足りない」「貯金が底をつきそう」——老人ホームに入ったものの、費用の負担が重くなってきた。そんなとき、頭に浮かぶのが「払えなくなったら、追い出されるの?」という不安です。結論からいうと、払えなくなりそうでも、いきなり退去ではありません。使える制度、施設への相談、より安い施設への住み替え、そして最後のセーフティネットまで、順番に打てる手があります。いちばん大切なのは、滞納する前に相談すること。この記事で、あわてないための対処法を整理します。

まず、放置だけはしないで

いちばん避けたいのは、「払えないまま黙って滞納を続ける」ことです。滞納が積み重なると、契約解除・退去につながってしまいます。逆に、「払えなくなりそう」と気づいた時点で相談すれば、選べる手はたくさんあります。

相談先は、担当の**ケアマネジャー、市区町村の介護保険窓口、施設の相談員、そして迷ったら地域包括支援センター**。恥ずかしいことでは決してありません。早く動くほど、打てる手が増えます。

以下、打てる手を順番に見ていきます。

① まず、費用を軽くする制度を使い切る

意外と見落とされがちですが、申請すれば負担が下がる制度があります。まだ使っていないものがないか確認しましょう。

  • 負担限度額認定:所得・資産が一定以下なら、特養など公的施設の居住費・食費が軽減されます(市区町村へ申請し「負担限度額認定証」の交付を受ける)
  • 高額介護サービス費:1か月の介護サービス自己負担が上限額を超えた分が戻る
  • 高額医療・高額介護合算制度:1年間の医療費と介護費の合計が上限を超えた分が戻る

これらは申請しないと受けられません。詳しくは介護費用を軽くする制度にまとめています。自己負担割合そのものが気になる方は介護保険の自己負担割合もどうぞ。

② 施設に、早めに相談する

「払うのが厳しくなってきた」と、施設の相談員に正直に伝えることも大切です。施設によっては、支払い方法や時期の相談に応じてくれたり、利用できる制度を一緒に確認してくれたりします。黙って滞納するより、事情を共有したほうが、施設側も対応を考えやすくなります。

③ より費用の安い施設へ住み替える

今の施設の費用が身の丈に合わないなら、より費用を抑えられる施設への住み替えも現実的な選択です。

住み替えは早めの申し込みがカギです。特養は待機期間があるため、「限界が来る前」に申し込んでおくと安心です。施設種別の全体像は老人ホームの種類一覧も参考に。

④ 最後のセーフティネット——生活保護

制度を使っても、住み替えても、どうしても生活が立ち行かないときは、生活保護という最後のセーフティネットがあります(厚生労働省)。

生活保護を受けている方でも、特別養護老人ホームや、生活保護に対応した民間施設に入居することは可能です。生活保護には介護扶助・住宅扶助などがあり、介護の自己負担や住まいの費用がまかなわれる仕組みがあります。

ただし、施設によって受け入れの可否や条件が異なります。**福祉事務所(生活保護の窓口)**やケアマネジャー、地域包括支援センターに相談しながら、対応できる施設を探しましょう。「生活保護=施設に入れない」ではありません。

予防:入居前に「将来の費用」まで見積もる

そもそも払えなくなる事態を防ぐには、入居前に長い目で費用を見積もることが大切です。

  • 月額費用だけでなく、入居一時金・医療費・おむつ代・雑費まで含める(→入居一時金の仕組み)
  • 年金・貯蓄で何年もつかを試算する(介護は長期になることも)
  • 使える軽減制度を最初から把握しておく

無理のない予算で施設を選ぶことが、いちばんの予防策です。費用の相場は介護費用の相場と内訳にまとめています。

関連記事

出典・参考

まとめ

老人ホームの費用が払えなくなりそうでも、いきなり退去ではありません。①負担限度額認定や高額介護サービス費など軽減制度を使い切る ②施設に早めに相談する ③特養・ケアハウスなど費用の安い施設へ住み替える ④それでも難しければ生活保護——と、順番に打てる手があります。いちばん大切なのは、滞納する前に、ケアマネジャーや市区町村、地域包括支援センターに相談すること。早く動くほど選べる手は増えます。そして予防には、入居前に将来の費用まで見積もること。施設さがしや費用の相談は、AIアドバイザーにも気軽にどうぞ(無料・登録不要)。