「親の介護が必要になったけれど、同居している子ども(きょうだい)も長く引きこもっていて、この先どうなるのか」——そんな相談の背景にあるのが8050(はちまる・ごうまる)問題です。結論からいうと、これは80代の親と、引きこもりや無職などで自立が難しい50代の子が同居し、親の介護・家計の困窮・社会からの孤立が同時に起こって生活が行き詰まる問題を指します。カギは「介護」と「子どもの支援」を別々に考えず、地域包括支援センターや自治体の相談窓口に早めにつながること。この記事で、背景・起きること・相談先・親亡き後の備えを整理します。

8050問題とは?なぜ今増えているの?

8050問題とは、80代の親と、引きこもりや無職・低収入などで経済的に自立できていない50代の子が同居する世帯で起こる、複合的な生活の行き詰まりのことです。名前の「80」「50」は、親と子のおおよその年代を表しています。

もともと若かった子の引きこもりが長期化し、それを支えてきた親も高齢になった結果、表面化してきました。内閣府が2018年度(平成30年度)に40〜64歳を対象に行った「生活状況に関する調査」では、この年代でひきこもり状態にある人が**全国で推計約61万3千人(出現率1.45%)**と報告されています(2019年3月公表、内閣府)。7割以上が男性で、期間が7年以上に及ぶ人も半数を超えるなど、中高年層での長期化がうかがえます。

親がさらに高齢になれば、いわゆる**「9060問題」**(90代の親と60代の子)というより深刻な段階に進みます。親の介護が始まるタイミングは、この問題が一気に表に出る瞬間でもあります。

8050問題では、家庭で何が起きますか?

多くの場合、次のような困りごとが同時に押し寄せます。

  • 介護:親が要介護状態になり、介護の担い手が家庭内にいない(子が対応できない・親自身も子の世話をしてきた)
  • お金:世帯の収入が親の年金頼みで、親が入院・施設入居・死亡すると家計が一気に崩れる
  • 孤立:家族が周囲に相談できず、問題を長年かかえ込んでいる
  • 手続きの壁:介護保険の申請や契約など、外部とのやりとりを担える人が家庭内にいない

つらいのは、相談する窓口が分かれていることです。親の介護は介護の窓口、子どもの就労や生活は別の窓口——と縦割りになっていると、「どこに相談すればいいのか分からない」まま時間だけが過ぎてしまいます。実際に、地域包括支援センターに寄せられる相談の中でも、介護の相談をきっかけに世帯全体の複合的な課題が見えてくるケースが少なくないことが、厚生労働省の調査でも取り上げられています。

8050問題は、どこに相談すればいいですか?

「正しい窓口」を最初から選ぼうとしすぎないことが大切です。つながりやすい一つの窓口から始めれば、そこから適切な支援へ橋渡ししてもらえます。

  • 地域包括支援センター:親の介護を入り口にするなら、まずここ。高齢者の総合相談窓口で、無料。介護保険の申請支援だけでなく、世帯全体の困りごとを他機関につなぐ役割も担います
  • 市区町村の福祉相談窓口:生活困窮者自立支援の相談窓口や、ひきこもり地域支援センターなど。子どもの就労・生活の相談はこちら
  • 重層的支援体制整備事業の窓口:介護・障害・子ども・生活困窮・引きこもりなど、分野をまたぐ相談を「断らずに」受け止める仕組みで、2021年度から市区町村が取り組めるようになりました(厚生労働省・地域共生社会)。世帯まるごとの相談に向いています

「介護の相談ついでに、実は同居の子どものことも心配で……」と一言添えるだけで構いません。世帯全体を見てくれる支援につながることが、8050問題では何より重要です。

親の介護が必要になったら、まず何をすればいい?

親の介護そのものの進め方は、一般的な介護と同じ流れで大丈夫です。慌てず順番に進めましょう。

  1. 要介護認定を申請する:市区町村の窓口か地域包括支援センターへ(詳しくは要介護認定の申請
  2. ケアマネジャーを決める:介護保険のサービスを組み立ててもらう
  3. 使えるサービスを検討する:在宅の介護サービス、デイサービス、必要に応じて施設入居も

8050問題の世帯では、「介護をきっかけに、子どもの生活の支援も一緒に相談できた」というのが理想的な入り方です。介護保険の手続きが外部支援とつながる最初のドアになることが少なくありません。介護の始め方全体は、親の介護で最初にすることも参考にしてください。

親が亡くなった後の備えは?

8050問題でいちばん心配なのが、親亡き後です。親の年金や資産で世帯が回っていた場合、親が亡くなると収入が途絶え、残された子が一気に困窮しかねません。元気な今のうちに、次のことを少しずつ進めておきましょう。

  • 子の支援につながっておく:就労支援・生活支援の窓口に、親が動けるうちにつないでおく。関係ができていれば、いざというとき頼れます
  • お金の「見える化」:世帯の収入・資産・保険がどこにあるかを家族で共有しておく(→親のお金の考え方
  • 使える制度を知っておく:いざとなれば生活保護という最後のセーフティネットがあります。子に障害がある場合は障害福祉サービスの対象になることも。ひとりで判断せず、窓口で相談を
  • 判断能力の低下に備える:親の財産管理が難しくなる前に、成年後見制度などの選択肢も知っておくと安心です

「縁起でもない」と先送りにしがちですが、準備できるのは親が元気な今だけ。備えておくほど、残された家族の負担は軽くなります。

ひとりで抱え込まないで

8050問題は、家族の努力不足で起きるものではありません。社会全体で長期化してきた課題であり、支える仕組みも整いつつあります。何より避けたいのは、周囲に言えないまま家庭内だけで抱え込み、親の介護と子どもの生活が同時に限界を迎えてしまうことです。

「うちのことは特殊だから」と思わず、まずは地域包括支援センターに電話一本かけてみてください。介護する側の心が疲れてしまう前に、介護疲れ・介護うつのサインと対処もあわせてどうぞ。

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出典・参考

まとめ

8050問題は、80代の親と、自立が難しい50代の子が同居し、親の介護・家計の困窮・孤立が同時に起こって生活が行き詰まる問題です。内閣府調査では40〜64歳のひきこもりが推計61万人超とされ、親の高齢化とともに「9060問題」へと深刻化します。大切なのは、介護と子どもの支援を別々に考えず、地域包括支援センターや自治体の相談窓口(重層的支援)に早めにつながること。そして親が元気なうちに、子の支援・お金・制度の備えを進めておくことです。ひとりで抱え込まず、まずは一つの窓口に相談を。介護の疑問は、AIアドバイザーにも気軽に相談してください(無料・登録不要)。